2005.03.09 データベースさえ無料に
荒井 久
昨日の「コミュニティ力」の話を大学同級生のメーリングリストに流したら、北海道の大学にいる同級生の学者M君から以下のような、とても参考になるメールが届いた。ここでも披露しておきたい。
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自分で手を入れて色々と試すことが可能なプラットホームは確かに面白いものです。Linuxのカーネルという共通基盤があるので、方言は出てきても共通部分が変わらないのが良いのです。
最近は、Linuxのオープン性に触発されて、OSの周辺技術が次々にオープンになって来ている。「OSやコンパイラが無料となる可能性がある」と90年初頭にメーカの人に言ったら、笑われてしまったことが印象に残っている。
しかし、今度はデータベースというかつては金のなる木だったものが、オープンになり無料になってきた。MySQL とかPostgresSQLというLinuxで動くものだが、年々機能アップしていて、大学の業務にも使っているのだが、十分に使えるので、オラクルのお世話にならずに済んでいる。もちろん自分たちで作ったので、システムハウスのお世話にもなっていない。
Outlook とデータベース連携というシステムが世の中に蔓延しているが、早晩、オープンソースに置き換えられるように思う。
「オープンソースの文化というのは、資本主義になじまないものですよ。タダの世界なんて絶対におかしい。ソフトハウスは何で食っていけばいいのですか?」と最近ソフトハウスの人に避難されていますが...でも流れは誰にも止められない気がしています。
もう、プラットホームを独占して、その上に乗る全てを商売にしようとしても、誰ものってこない時代になった。それで、お互い協力できる所は協力して、開発環境とか、ミドルウェアとか皆が使う共通基盤を分担して開発すれば、少ない投資で大きなプロジェクトが出来てしまうのです。
例えば、IBMが何億かけたか知らないけれど、Eclipse というJavaの開発環境を作ったのだが、これをオープンにしてしまった。これで、一気にデスクトップLinux用のソフト開発が進むと思われる。日本語環境とか、小さなプラグインが次々にネットに上がってきている。
どこのメーカのだれが、どのように協力しているか、分からないのだが、ネット上に出来たコミュニティの世界で成長を楽しんでいる。
IBMがお金を取れるとすれば、開発環境で動く特殊なプラグイン機能か、開発環境こみのネットワークシステムの受注くらいでしょう。IBMとしては、自分が提供したものが成長して、その成果を自分も利用できるということで、メリットを受けると同時にMSに対抗している。
日本が貢献できる分野として、日本語環境を含むLinuxのマルチランゲージ化だと思う。EU言語バージョンのLinuxで日本語仮名漢字変換やワープロを動かすとか(日本語教育のシステムが欲しいと良く言われる。)
EUは言語の多様な世界なので、各国ともオープンソースでの言語環境の開発には熱心だ。言語を流通させることで異文化の交流と平和を作り出そうとする努力には敬服させられる。
日本政府はお金の使い方を知らないように思う。
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「オープンは無料」は一面ではその通りだが、それが普及した際には、それを使いやすくしたり、サポートしたりとさまざまな商売の種が広がるような気がする。さまざまな社会のニーズに対応するビジネスの発掘が、次の社会を構築していくのではないだろうか。
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