2008.12.03    「ぶん殴られた恩師のお墓参り」   荒井 久
 
 
中学校のクラス会の後、恩師のお墓参りをした。
恩師の墓は、大きな大きな銀杏(いちょう)の木の下にあった。
銀杏(ぎんなん)がご褒美だった。

昭和33年3月
統合中学の新1年生。

入学式を済ませてホームルームで待っていると。
ドアをがらりと開けて。
担任が登場した。

神津梧郎
若干26歳。
よろしく。

最初に、そう言い放った。

「初心、時々にして忘るべからず」で良いから、と言いながらも。
横道に逸れそうな仲間は、委細かまわずぶん殴られた。

担任以外の授業の時も。
仲間は隣の保健室に呼び出され。
どかんどかんと殴られた。

その強烈な音が響く度に。
僕たちは緊張した。

僕たちは皆で結束した。

あれから50年。
クラス会に集まった15人は、恩師の墓前で手を合わせた。

「先生、あの時はありがとう。皆で来たよ」

 
        
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