2005.03.16    「良」の否定と「悪」の肯定   荒井 久
 
 
「あのね。高校へ進学するのにいい高校に進学する仲間は人気なくて、だめな高校へ進学する仲間が人気あるんですって。変でしょう」。お昼をとったレストランで、隣の会話が聞こえてしまった。ふーん、そうかも。

おもわず、今週土曜日が最終回のテレビドラマ「ごくせん」を思い出してしまった。「ごくせん」。「極道な妻」を真似して「極道な先生」ということだろうか。けんかばっかりの高校生を教える女性先生の物語だが、すごい視聴率だそうだ。

どうやら世の中は「良」よりも「悪」にあこがれているようだ。その傾向は昔からあったのだと思うが、どうもそれが最近、加速しているような気がしてならない。

「秀才」「天才」「学業良好」「まじめ」「勤勉」「ポジティブ」という言葉は、いい話の中で使われることが少なく、むしろ否定的な側面で使われることが多い。

一方で、「ワル」「悪太郎」「勝手気まま」「遊び人」「ネガティブ」といった言葉は、必ずしも否定的な場面ではなく、むしろ好意的な場面で使われることが多い。

それが「人間社会の面白み」と言ってしまえばそれまでだが、このままでいいのだろうか。


 
   
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