2004.10.13    「危険」を売る商売の心得   荒井 久
 
 
先日、著名翻訳家のご紹介で、「HONDA」の児嶋史郎さんという方とご一緒する機会に恵まれた。筆者はまだ車の免許を取って2年目という初心者。このところ、タクシーに乗っては車の安全運転の勉強をしている。いわば、車には興味津々で、この日は児嶋さんに感動的な話を聞いた。児嶋さんは経営企画部で開発技術主幹の立場にある。

以下はその児嶋さんの弁。
「車メーカーは電気機器メーカーなどと根本的に異なるのは、車は時として不幸にも殺人ツールに変身してしまう危険性が伴うことだ。二輪車から始まったHONDAは、いつもこのことに心を痛めている。同時に、如何にしたら、より安全な車を提供できるかということが、全社員の頭から離れない」。

「だが、どんなに車だけ頑張っても安全な交通社会は作れない。車はいわばハードエウアで、それに乗る人の技術はいわばソフトウエア、そして、そのためのインフラが社会です。HONDAはハードメーカーですが、ソフト面でも協力したい。インフラ社会にまではHONDAだけではできませんが、せめてソフトにもなんとかしたい」。

こうした考えに基づいて推進しているのが、HONDAの安全運転対策本部だそうだ。各地に安全運転のための教育や普及活動をしている。こうした組織があるのも日本の車メーカーではHONDAだけだという。

物事には光と影がある。便利の影には危険が隠されている。ITも便利になればなるほど、その影にはさまざまな危険が隠されている。いつもそのことに思いを馳せていなければ。HONDAイズムから、そんなことを学んだ。


 
   
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