2006.01.05    「田舎者の幸せ」   坂本直樹
 
 
「やっぱり、田舎のラーメンがいちばんうまいのう」。飲み会のあと入ったラーメン屋での、同級生の言葉である。彼は、東京で年商数十億の会社を経営し、大成功している。東京で会うときは、洗練され、はぶりのよい彼に田舎者の面影はない。

ところが、ここでは、同じ学び舎で学んだころと同じ表情を浮かべて、たかがラーメン一杯で幸せそうにしている。彼も、やはり僕と同じ田舎者だったのだ。

毎年のことだが、年末年始のUターンラッシュは厳しいものがある。僕のような地方出身者にとっては、年に一回の試練(?)のようなものだ。身動き一つできないすし詰め状態の新幹線で6時間、なんてことはざらだ。

今回もおおみそかに、厳冬の中、東京駅で2時間半並ぶという試練を味わった。帰京は、奇跡的に飛行機のチケットがとれ、なんとか出社に間に合ったが。

上京して早や二十数年。かつて、日本でも有数の炭鉱町でたいそう栄えた僕の故郷・宇部市。今では過疎化が進み、驚くほどさびれてしまった。帰るたびに、懐かしい空間が一つ一つ姿を消して行く。もはや、僕が生まれ育った街はなくなったといっていい。さびしい。

しかし、変わらないものもある。新鮮な魚介類、ラーメン、うどん、お好み焼き、など、この地方でないと味わえない懐かしい味。年に一度か二度、家族やおさななじみたちと味わうのは格別だ。

街は変わっても、僕の懐かしい田舎はまだしっかりと残っている。


 
   
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