2009.04.06    「写す力3 ライブで試されること」   荒井 久
 
 
珍しく2週連続のライブを楽しんだ。
先週末は代官山でのシャンソンライブ。
歌手はフランス人のサブリーム(Sublime)さん。
日本での生活も長いということで日本語も上手い。
ある空間アーティストのお誘いで同行した。

そして、先々週末はジャズピアノライブ。
こちらは渋谷セルリアンタワーで宮野寛子さんだった。
ある作曲家からのご紹介で1人で楽しんだ。

その後、二人の写す力を考えてしまった。

歌手、演奏家の場合。
楽曲を深く理解して表現することが「写す」ことだ。

その表現の良し悪しは、聴いてくださった方々にどう伝わるか。
どう感動を共有できるかにかかっている。

とりわけ、ライブだと尚更だ。

時として演奏そのものだけではなく、
その場の創り方、雰囲気、語りまでが感動の共有につながる。
そこに写す力が試される。

この二つのライブで、その違いが出たように思う。

宮野さんの場合。
ご自身のピアノも、トリオもカルテットも素敵だったのだが。
語りに緊張感が漂った。
休憩後の再開の際、「共演者に緊張しているよ」と言われたんですと披露。
そこから脱しようとして努力が見られた。

だが、語りの中に「えー、えー」を連発。
たぶん、落ち着いて語ろうという慎重さからだろう。
会場の雰囲気を呑んでかかれなかった。

アンケートで「ちょっと、えーが多すぎましたね」とメモしたら、
後ほどお礼のメールと、その通りでしたとのコメント。
アーティストから直々に申し訳なく、こちらが緊張してしまった。

一方のサブリーム。
「おまたせー」と壇上に現われた。
会場には大きな拍手が起こる。

いきなり、エアコンの風にベースマンの楽譜が飛び散ってしまい。
「ちょと、まてください」とたどたどしい日本語。

本番のシャンソンが始まると、その歌唱力に会場はピンと張り詰めた。
僕にはフランス語はわからないのだが。
この上ない素晴らしい楽器が素晴らしい音色を奏でているように感じた。

ご本人もシャンソンの世界に入り込んでしまい。
「今日の私、日本語がヘタになってしまったみたい」と会場を沸かす。
一歩間違えれば、いい加減なライブとなるところを上手くコントロール。
聴衆と感動を共有していた。

ライブの場合の写す力。
名演奏に加えた力が試される。

 
        
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