2006.03.22    「日本優勝の号外にむらがる」   井田道範
 
 
春のお彼岸は,うららかな晴れもようだった。

買い物をすませてJR船橋駅へとむかっていると,
駅のほうからくる人たちが,
みな1枚の新聞紙をかかえている。
見出しには「王ジャパン」の文字。
駅までゆくと,野球の世界大会ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で,日本が優勝したという号外が配られていた。

号外は,速報性での優位はテレビやインターネットにゆずったが,
それでも他のメディアにはない特色がある。
「自分は,まさにいまこのニュースを知った」という緊迫感と,
「このニュースを他の人と同時に知った」という共時性を,
読者にあたえられる。

この緊迫感と共時性は,
手渡しで号外を受けとるリアルさがもたらす。
リアルさは,人を引きつける。
だから,ケータイというバーチャルでスポーツニュースが配信されても,
人は「WBCで日本優勝」の号外にむらがる。

インターネットのようなバーチャルにとって,
緊迫感や共時性というリアルの強みをいかにとりこむかは,
古くて新しい課題だろう。
むかしの中国人は,それをうまく表現している。
「温故知新」。
古いものを否定するだけでは,新しいものは生まれてこない。
1枚の号外が,それを教えてくれる。

ところで私は,スポーツにあまり興味がない。
「WBCで日本優勝」は,号外で知らせるようなニュースなのかどうか,
いまひとつわからない。
でも,緊迫感と共時性は味わいたかったので,
号外はちゃんともらった。

 
   
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